INTRODUCTION

婚活大国ニッポン!今、日本は世界でも類を見ない婚活ブーム。結婚相談所は全国に4000社、利用者は60万人と言われています。そして、婚活世代は以前とは様変わりしています。長寿化や核家族化に伴う結婚観の変化や、2004年以降の段階的な年金制度改正によって離婚後も夫婦で年金が分割可能となったこと等も影響し、「熟年離婚」が劇的に増加しました。一方で、未婚の中高年男性も急増しており、50歳の時点で一度も結婚経験がない男性は、2010年時点で5人に1人、1995年から2倍以上も増加しました。また、65歳以上の一人暮らしは約600万人、男性の5人に1人、女性の2人に1人が独身です。その結果、50代以上の世代による「熟年婚活」が急増しています。離婚後のセカンドライフを楽しみ新たなパートナーを望む人々や、未婚の中高年男性をメイン顧客とした熟年層向けの結婚相談所や婚活サービスが巷で人気を博すようになりました。
そんな世相を背景に、結婚相談所で効率よく相手を見つけ、資産を狙って結婚詐欺を働く犯罪が“後妻業”です。最近でも、京都で起きた事件が大きく世間を騒がせました。

原作は、直木賞作家・黒川博行氏の受賞後第一作目となる小説「後妻業」。その圧倒的なリアリティに、京都の事件が明るみになった直後は事件を予見していたと話題となりました。メガホンをとったのは、名匠・鶴橋康夫監督。芸術選奨文部科学大臣賞(04年「砦なき者」)、紫綬褒章(07年)、旭日小綬章(13年)と、ドラマ界で数々の賞を受賞した社会派作品の名手で、今作では脚本も手掛けています。  主人公・小夜子を演じるのは、映画・演劇界で数々の賞を受賞、日本を代表する名女優・大竹しのぶ。小夜子と共に老人達を騙していく結婚相談所所長・柏木に、日本映画界で唯一無二の存在感を放つ豊川悦司。そして、小夜子が次のターゲットとして狙う不動産王・舟山に笑福亭鶴瓶、小夜子の9番目の夫・中瀬耕造に津川雅彦、小夜子と柏木を追い詰める探偵・本多に永瀬正敏、耕造の次女・朋美に尾野真千子、長女・尚子に長谷川京子、柏木の愛人のホステス・繭美に水川あさみ、小夜子の息子・博司に風間俊介、もう一人の後妻業の女に余貴美子、被害に合ったとされる元夫に森本レオ、六平直政、伊武雅刀、その他泉谷しげる、柄本明と演技派且つ個性派の超豪華役者陣が脇を固めます。

子供世代の核家族化によるシニア世代の孤立という、現代日本人が直面している家族の現実を浮き彫りにし、「自分の身にも起こるかも?」「父は大丈夫だろうか?」など、共感を覚える人間ドラマでありながら、そこに登場するのは、騙す側も騙される側もどこか可笑しみのあるキャラクターばかり。彼らを関西弁で生き生きとユーモラスに描き、娯楽性の高いエンタテインメント作品として作り上げました。

STORY

「武内小夜子、63歳、若くして夫を失った熟年女性です。好きなことは読書と夜空を見上げること…わたし、尽くすタイプやと思います」
結婚相談所主催のパーティで淑女然として老人たちに語る小夜子(大竹しのぶ)。その魅力に老人たちはイチコロである。80歳になる中瀬耕造(津川雅彦)もその一人。小夜子と耕造は互いに惹かれあい、結婚。幸せな夫婦生活を送るはず、だった―――。
2年後、耕造の娘、中瀬朋美(尾野真千子)は病院へと急いでいた。父親の耕造が脳梗塞で突然倒れたからだ。姉の西木尚子(長谷川京子)と病院で合流すると、のんきに着替えを持って来た後妻の小夜子から法外な葬式費用を要求される。かねてから耕造の世話をろくにしていないように見えた小夜子に激昂する朋美と、ただただ唖然とする、主婦で世間知らずの尚子だったが、耕造は快復することなく亡くなってしまう。さらに、小夜子に法的効力のある“遺言公正証書”を突き付けられ、小夜子が全財産を相続する事実を言い渡される。

朋美は同級生の弁護士に助けを求め、さっそく小夜子の調査が始まるが、そこで衝撃の事実が発覚する。なんと小夜子は、金持ち老人を色香で虜にし、後妻に入って金品を巻き上げる“後妻業の女”だったのである!!小夜子は過去に8人もの男と結婚を繰り返しては夫と死別したり、夫の行方がわからなくなっており、その背後には結婚相談所所長の柏木亨(豊川悦司)の影があった。

「結婚相談所に限って言えば、男の高齢者がよくモテる。第一条件は資産があること。持病があればなおいい。看取る時間の効率が良いから女同士の取り合いになったりする…」

次から次へと“後妻業”を繰り返してきた小夜子と柏木、2人の悪事を暴こうと奔走する朋美と、調査に協力する裏社会の探偵・本多芳則(永瀬正敏)、小夜子の次のターゲットでありながら、彼女が本気で愛してしまった不動産王・舟山喜春(笑福亭鶴瓶)、そして彼らを取り巻くひと癖もふた癖もある人々・・・。
今、愛とお金をめぐるドラマが始まる―――!!!

CAST

人物相関図

STAFF

1940年1月15日生まれ、新潟県出身。
中央大学法学部卒業後、1962年読売テレビ入社。以後一貫してドラマ演出を手掛ける。現在はフリーとして活躍。
叫びと沈黙、滑稽と悲惨、真面目といい加減さが混在するその演出は、映像の魔術師と謳われる。カメレオンの様に変わる家族の秘密や数々の社会派ドラマでも次々と新分野を開拓し続け、今回の『後妻業の女』では、人間喜劇を描き、新たなフィールドに挑戦している

1981年 芸術選奨文部大臣新人賞
2004年 芸術選奨文部科学大臣賞
2007年 紫綬褒章
2013年 旭日小綬章
映画
『愛の流刑地』(07)、『源氏物語―千年の謎―』(11)
ドラマ
「かげろうの死」(81・芸術選奨文部大臣新人賞)、「五辦の椿」(81・芸術選奨文部大臣新人賞)、「仮の宿なるを」(83・芸術祭優秀賞)、「危険な年ごろ」(84・芸術祭優秀賞・放送文化基金賞・ギャラクシー月間賞)、「魔性」(84・テレビ大賞最優秀個人賞)、「遠めがねの女」(86・ギャラクシー奨励賞)、「ここの岸より」(87・ギャラクシー奨励賞)、「手枕さげて」(87・ギャラクシー特別賞・ギャラクシー奨励賞)、「月は船 如何に漕ぐらん」(87・ギャラクシー奨励賞)、「かくれんぼ」(88・ギャラクシー奨励賞)、「風の棲む家」(89・ギャラクシー奨励賞)、「結婚式」(89・ギャラクシー選奨)、「愛の世界」(90・放送文化基金賞 個人賞・文化庁芸術作品賞・ATP賞・ギャラクシー奨励賞・四川省ゴールデンパンダ賞)、「東京ららばい」(91・ギャラクシー奨励賞)、「雀色時」(92・文化庁芸術作品賞・日本民間放送連盟賞・ギャラクシー奨励賞・上海テレビ祭監督賞・四川省ゴールデンパンダ賞)、「性的黙示録」(92・ギャラクシー選奨)、「私が殺した男」(93・ギャラクシー奨励賞)、「愛が叫んでる」(96・ギャラクシー奨励賞・日本民間放送連盟賞)、「院内感染」(97・日本民間放送連盟賞・放送文化基金賞)、「刑事たちの夏」(99・ギャラクシー大賞・放送文化基金賞個人賞・日本民間放送連盟賞最優秀賞)、連続ドラマ「永遠の仔」(00・日本民間放送連盟賞 最優秀賞・ATP賞ドラマ部門最優秀賞)、「龍神町龍神十三番地」(03)、「砦なき者」(04・芸術選奨文部科学大臣賞・ギャラクシー選奨・ATP賞ドラマ部門優秀賞・放送文化基金賞本賞・放送人の会グランプリ特別賞)、「ぶるうかなりや」(05・ギャラクシー選奨)、「天国と地獄」(07)、「警官の血」(09・ギャラクシー奨励賞)、「悪女について」(12)、「野良犬」(13)、「おやじの背中『ウエディング・マッチ』」(14・文化庁芸術祭優秀賞)、「坂道の家」(14・放送文化基金賞奨励賞)

1949年3月4日生まれ。愛媛県出身。
京都市立芸術大学卒業後、高校で美術を教える傍ら、1986年「キャッツアイころがった」で第4回サントリーミステリー大賞を受賞し、作家活動に入る。96年、「カウント・プラン」で第49回日本推理作家協会賞、14年、「破門」で第151回直木賞を受賞。大阪を舞台にした軽妙な語り口の中に、産廃問題や北朝鮮関連などの社会的テーマを取り込んだ独自の小説世界を持つ。著書に、「封印」(92)、「疫病神」(97)、「文福茶釜」(99)、「国境」(01)、「暗礁」(05)、「悪果」(07)、「繚乱」(12)、「離れ折紙」(13)、「勁草」(15)などがある。原作の映像化も数多く、ドラマ「破門」(15/BSスカパー!)、ドラマ「煙霞」(15/WOWOW)、ドラマ「螻蛄」(16/BSスカパー!)などがあり、映画化作品は『迅雷 組長の身代金』(96/高橋伴明監督)、『WiLd LIFe jump into the dark』(97/青山真治監督)に次いで『後妻業の女』で3作品目となる。今後も17年に『破門』(小林聖太郎監督)の公開が控えており、映像の世界からも注目を浴びる作家である。

PRODUCTION NOTE

2014年、黒川博行氏の直木賞受賞作「破門」後の第一弾作品として刊行された「後妻業」。出版されるや否や、この注目作に複数の映画化権を求める手が上がる。その中に、鶴橋康夫監督も名を連ねていた。もともと黒川作品のファンであった鶴橋監督は、あるロケ先の近くの書店で出版直後の「後妻業」を手に入れ、一夜でキャスティングまで思い浮かべながら読み切り、映像化への構想を想い描いたという。『愛の流刑地』(07年)、『源氏物語―千年の謎―』(11年)でタッグを組んできた東宝と、本作の制作プロダクションとなるROBOTで、原作サイドとの交渉を開始。
「黒川さんの作品はハードボイルドだが、愛がある」と語り、自ら映像化権獲得の為の打ち合わせに参加した鶴橋監督の熱意に、版権元も作品をゆだねることを決断。原作権を勝ち取った。これまで数々の≪人間ドラマ≫を卓抜した表現で描いてきた鶴橋監督の『後妻業の女』は、こうして始まった。

映画化決定後、早速脚本執筆を進めた鶴橋監督。原作者・黒川氏とも直接会い、作品について話し合った。もともとボリュームのある原作を、どのように映像化していくか、鶴橋監督のビジョンを説明。犯罪を描いており、ともすれば重量感のある深い人間ドラマが根底に介在する物語を、観客がライトな気分で楽しめる、あくまで“人間喜劇”として描くことや、キャラクターの設定・年齢の変更などを伝えたところ、黒川氏は快諾。ただ、黒川氏が特にこだわったものがある。それは関西弁である。
関西在住の黒川氏、セリフの語尾や言い回しなどの監修を自身も行うこととなった。このこだわりが、本作に溢れる人間臭さ、可笑しみとともに生まれる哀愁を作り出す一助となったことは間違いない。

今作の成功のカギは、原作の大きな魅力の一つである、会話の妙をいかに実写でも実現できるかに掛かっていた。その為キャスティングも、演技力が特に重要視され、鶴橋監督の元に、超実力派俳優陣が勢揃いすることとなった。
主人公の“後妻業の女”小夜子には、16年ぶりの鶴橋組参加となる、まさに日本を代表する名女優・大竹しのぶ。鶴橋監督が最初に原作を読んだ際、既に大竹を思い浮かべながら読み進めたという。実は映像化権を争った各社も、原作を読み、小夜子役には大竹をイメージしていたという裏話もある。八面六臂に映画・演劇・ドラマで活躍し、無限の芝居の引き出しを感じさせる大竹にしかできない、小夜子の刹那で変わる表情や絶妙な台詞回しに、ただただ圧倒されるばかりである。
小夜子の相棒・柏木亨には『愛の流刑地』で鶴橋監督とタッグを組んだ、豊川悦司。大竹同様、鶴橋監督の中では当初から柏木役は豊川でとの思いがあった。関西出身であり、また小夜子役の大竹とは『一枚のハガキ』(11年/新藤兼人監督)など何度も共演を果たしている。阿吽の呼吸で繰り広げられる、小夜子と柏木のコミカルでテンポの良いやり取りに、一瞬にして『後妻業の女』の世界に引き込まれる。

小夜子が本気で愛してしまう不動産王・舟山喜春を演じたのは笑福亭鶴瓶。作品のキーマンであるこの役、原作のキャラクターイメージからは一見離れているようにも感じられるが、笑福亭鶴瓶の持つ、人々を虜にする魅力は舟山に一番重要な要素であり、見事な好演。気さくな人柄で撮影現場も大いに盛り上げた。
後妻業を追う探偵・本多芳則を演じるのは永瀬正敏。鶴橋監督とは「野良犬」(13年/テレビ朝日)以来のタッグとなる。入念な役作りで表裏あるキャラクターを熱演。豊川演じる柏木との丁々発止のやり取りは圧巻である。
小夜子の9番目の夫・中瀬耕造には津川雅彦。鶴橋監督とは同い年で盟友。原作の表紙に描かれた男性の横顔を見て、すぐに津川への出演オファーを決めたという鶴橋監督。本編にも、原作へのオマージュとも言えるような印象的な津川の横顔が収められた。
他にも、本多と共に小夜子を追い詰める耕造の次女・中瀬朋美に尾野真千子、朋美の姉の西木尚子に長谷川京子、柏木の恋人のホステス・三好繭美に水川あさみ、小夜子の息子・博司に風間俊介、もう一人の後妻業の女・瀬川英子に余 貴美子。小夜子の元夫たちを六平直政、森本レオ、伊武雅刀が演じ、その他、泉谷しげる、柄本明と、名優達が脇を固める。
鶴橋監督だからこそ集まった超豪華俳優陣が、鶴橋ワールドにどっぷりと浸かり、この上なく贅沢な競演を果たし生まれたのが『後妻業の女』である。

2015年夏に行われた本編撮影。本編の冒頭でもある、海岸での結婚相談所主催のパーティーシーンでクランクインとなった。7月の真夏の日差し、真っ青な空、白い砂浜、ロケ地である茨城県高萩市赤浜海岸に集結したのは、パーティーのためにオシャレをした熟年婚活に励む中高年を演じる100名のエキストラ。そこにやってきたのは全身白のコーディネートをした鶴橋康夫監督とメインキャスト陣。主演の大竹は全身真っ白なワンピース、豊川は白シャツと麻のベストと、いかにも誠実そうで爽やかな衣装。強風の中、ドローンでの撮影も敢行しながら、沖から浜辺へ、そこに集う無数の熟年男女たちを鮮明に映し出す。100名のエキストラは入念に準備運動をし、積み上げられたスイカの山をめがけて猛ダッシュ。アイドルグループのプロモーションビデオさながらの躍動的で溌剌とした芝居が繰り返される中、一際の若々しさを放ち男性陣を虜にする小夜子。まさに、本作を象徴する、エネルギッシュなクランクインとなった。

本編撮影の後半戦は、映画の舞台となった大阪でロケが行われた。初日は中之島を周遊する遊覧船「きらり」での婚活パーティーの撮影。他に、天王寺区近鉄デパート前や、大正区の千歳橋、なんばハッチなど、大阪各所でロケを敢行。街並みの個性が薄れつつある現代において、いかに大阪らしい画が撮れるかがロケ地選定の大きな基準となった。大阪城や通天閣が画面に写りこむ場所がロケ地として採用され、大阪が舞台の本作に、存分に関西の空気を盛り込んだ。

伊武雅刀演じる武内の死後、家族が自宅で葬式の準備をしている時に、突然現れた小夜子が公正証書を見せつけ、勝手に葬式の段取りを始めるシーン。実は原作者の黒川博行氏がエキストラとして参加している。その堂々たる演技は、俳優陣の中でも引けを取らず、小夜子に戸惑う家族の一員を見事に演じ切った。

大阪のとある焼肉屋では、大竹演じる小夜子と尾野演じる朋美のバトルシーンを撮影。当日は現地で募った多数のエキストラが参加。エキストラ陣の熱気に現場の士気も高まる中、撮影がスタート。小夜子と朋美の両者一歩も引かない舌戦から、朋美が小夜子にコップの中の水を浴びせ、小夜子が手づかみで生肉を投げつけるアクション、そして壮絶な二人の取っ組み合いまでの長回し。周囲のエキストラを巻き込みながらの女優陣の渾身の芝居に、なかなかカットもかからない。ようやくかかった「カット!」の声に、スタッフからは盛大な拍手喝采。お互いを称えあい、抱き合う大竹と尾野。撮影時の迫力がそのまま大スクリーンに映し出され、二人の女優の凄味に思わず目を見張る。

登場人物のほぼ全員が大阪弁を話す今作。名優たちによる大阪弁のやり取りのテンポの妙が際立つ。豊川悦司(大阪府出身)、笑福亭鶴瓶(大阪府出身)、津川雅彦(京都府出身)、尾野真千子(奈良県出身)、水川あさみ(大阪府出身)、松尾諭(兵庫県出身)、笑福亭鶴光(大阪府出身)、樋井明日香(大阪府出身)と関西出身のキャストも多い中、大竹、長谷川、風間は役作りのために大阪弁を習得。方言指導スタッフと念入りにセリフのチェックを行いながらの演技。時には関西出身のキャストにアドバイスをもらうことも。完成した映像では関西出身と見紛うばかりの大阪弁を披露している。

2015年9月12日、約1ヶ月半に及んだ撮影も遂に最終日を迎えた。クランクアップの撮影場所は小夜子と舟山が向かうラブホテル。笑福亭鶴瓶は長い芸能生活の中でも今作で人生初のベッドシーンを経験することに。元々友人関係の大竹と笑福亭鶴瓶のベッドシーンの撮影は和気藹々と進み、最後の最後まで、鶴橋監督を含めた三人のまるでコントのようなやりとりで現場を盛り上げた。鶴橋監督は大竹からのサプライズプレゼントの花束を受け取ると、感極まった様子で、名匠と名優たちによる温かみ溢れるクランクアップとなった。

鶴橋監督は音楽へのこだわりも強い。音楽で編集点が変わる、という考えから、楽曲制作の前に、オフライン段階でイメージの合う曲をまず当て込んでいく。本作の劇中歌のベット・ミドラーが唄う「Do You Want To Dance」は、鶴橋監督のドラマ作品「魔性」(84年/読売テレビ)でも作品を象徴する印象的なシーンで使用されており、監督のお気に入りの楽曲。今作でも、耕造の葬式の際、小夜子が耕造に口づけをするというセンセーショナルなシーンに起用された。エンディングに流れる主題歌では鶴橋監督自ら作詞(岩船進一として)を担当し、主演の大竹が歌い上げた。圧巻の歌唱力に、レコーディングの際にスタッフから拍手が起こったほど。作詞・監督、歌唱・主演女優という、贅沢な一曲が映画のラストを大いに盛り上げる。

映画タイトルが原作の「後妻業」から「後妻業の女」に変更となった。「今回、小夜子という強烈なキャラクターを大竹しのぶさんに演じてもらうことになりました。企画し、撮影し、編集し、完成した作品の上がりを観た時に、圧倒的な演技力で全力で小夜子となった大竹さんに魅了されました。原作は『後妻業』ですが、原作者の黒川先生に相談して、映画は『後妻業の女』というタイトルに変更の許可を頂きました。大竹しのぶ讃歌です。」と語る鶴橋監督。監督自ら賛辞を贈る大竹の名演技が大スクリーンを鮮やかに彩る。